FXのようにレバレッジをかける取引では、国内・海外ともにロスカットの導入が推奨・義務づけられています。ロスカットがあるおかげで、投資家はいくらかの残高を最低でもキープすることができます。
しかし、ロスカットがあれば完全に安全だというわけではありません。なぜなら、ロスカットが間に合わないほどの急激な為替変動が生じた場合、残高がマイナスになる可能性があるからです。
そこで、注目したいのが海外FXのゼロカットです。何かと危険な噂がつきまとう海外FXですが、ゼロカットがあるだけでも投資家を大きな危機から守ってくれます。では、ゼロカットとは一体どのような仕組みになっているのか、今回は海外FXのゼロカットの仕組み、デメリット・注意点を解説していきます。どうぞ最後までお付き合い下さい。


海外FXのゼロカットってそもそも何なの?

ゼロカットとは、ロスカットの際に残高がマイナスにならないことを保証する制度のことです。ほとんどの海外FX業者がゼロカットを採用しています。
ゼロカットについて詳しく見ていくために、まずはロスカットの仕組みやリスクを確認していきましょう。
ロスカットとは、
含み損が一定水準以上の比率になると、自動的に決済されるFX業者のシステムのことです。日本の場合はレバレッジ取引においてはロスカットの設定が義務付けられています。
海外FXでもロスカット(ゼロカット)が設定されているのが普通です。

ロスカットの目安は、現在の残高(資産額)が必要証拠金の何%にあたるかで業者ごとに基準が定められています。この比率のことを「証拠金維持率/Margin」といいます。
では、証拠金維持率が何%まで低下するとロスカットに合うかは、国内FXと海外FXでは大きな差があります。
- 国内FXのロスカット水準 → 証拠金維持率50~100%
- 海外FXのロスカット水準 → 証拠金維持率20~30%
国内でも海外でも、ロスカットの対象となる証拠金維持率は異なります。大まかな平均水準は、国内FXの場合が証拠金維持率50~100%で、海外FXの場合で20~30%です。
参照:DMM FXのロスカット
ロスカットは原則として、負債を出すかもしれない投資家と、投資家が出した負債が未回収になるかもしれないFX業者と双方を保護するための規制です。
投資家を保護するためのロスカットとはなるものの、損失額を決定せざるを得ないことがリスクともなっています。加えて、ロスカットが間に合わずに残高がマイナスとなるリスクもあるのです。
そう頻繁にあることではないのですが、万が一ロスカットが間に合わずに残高がマイナスとなった場合、投資家はFX業者に負債を抱えることになります。マイナス分は借金として返済しなければならないのです。

じゃあ、FX取引では損失を出すだけでなく、借金をつくるリスクがあるってことだね。

そうなんです。そこで、海外FXならゼロカットがあるため借金をつくる心配がないのです。

では、実際にどのような仕組みで海外FXでゼロカットが実行されているのかを見ていきましょう。
米大統領選やコロナウイルスなど、何らかの重大なニュースがあった時には為替レートが数秒~数分で急激に動くことがあります。
急激な為替変動があった場合、注文が殺到するため約定・ロスカットが間に合わないことがあります。そのような状況の時には、ロスカットが作動したとしても残高がマイナスで終わる可能性が高くなるのです。
ゼロカットを採用する海外FXでは、残高がマイナスとなった場合、マイナス分を業者が補填する仕組みになっています。海外FXのゼロカットは「マイナス残高補填保証」「残高ゼロ保証」などとも呼ばれています。
一旦は残高がマイナスで表示されるのですが、数分~数10分後には残高がゼロで相殺されるのです。

ゼロカットがあるなら、海外FXの方が安全だよね?

そうですね。海外FXなら、資金を失うことはあっても借金をつくる心配はないということです。?
ではここで、ゼロカットのメリットをまとめてみました。
- どんなに残高がマイナスになっても借金を負う心配がない
- 口座にある資金を失うだけで済む
- 大きな安心感につながる
- ハイレバッレジで積極的に取引できる
- ハイリスクのエントリーにもチャレンジできる
少なくとも、ゼロカットなら借金をつくる心配がない、これが最大のメリットで投資家に大きな安心感を与えています。打撃を受けるのは口座にある資金だけで済みます。
ゼロカットがない国内FXでは、マイナス残高にて返済に追われることになりかねないのです。もし、返済するあてがなければカードローンや消費者金融からお金を借りるはめになりますよね。
ロスカットが間に合わないような事態は、確かにそう度々起きるわけではありません。過去のデータを振り返ってみると1~2年に1回程度あるかないか、といったところです。
マイナス残高が発生する確率は低いといえるのですが、いつどのタイミングで急激な為替変動が起きるのか誰にも予測はできません。つまり、国内FXでトレードする以上は、マイナス残高のリスクが常につきまとうわけですね。
この機会に、マイナス残高の過去の事例を見ておきましょう。
「金融先物取引業協会」の調査によると、ロスカット時の未収金発生口座(マイナス残高)は、200件程度の小規模なものが年に2、3回。3000件を超えるものが3年に1回程度のペースで発生しているとのことです。
2019年1月3日 豪ドル暴落
.png)
2019年1月3日のドル円暴落時には、5分程度で4円の急落。豪ドル円やその他通貨ペアも一斉に急落しました。
約6,000件のロスカット・マイナス口座が発生しています。トータルのマイナス金額(未収金発生額)は5億8,000万円です。マイナス額に個人差はあるものの、数十万~数百万円の借金をつくった投資家が続出したようです。

2019年1月3日 フラッシュクラッシュ(米ドル暴落)
2019年1月3日は、同時に米ドルも暴落しています。米ドルはアップルの株価暴落をきっかけに、わずか5分で4円も下落。フラッシュクラッシュと呼ばれている歴史的なドル暴落の一例です。
この日に15分間で2,000万円を失った投資家もいたとのこと。リアルな記事がDIAMOND ONLINEで公開されています。
参照:DIAMOND ONLINE たった15分間で2,000万円消滅


ゼロカットにはメリットしか感じないんだけど、デメリットや注意点はある?

ゼロカットは安心感を与えてくれる一方では、油断しすぎる危険性もあるのです。
マイナス残高だけが、FX借金の理由とはならないのが現実です。
よくあるパターンを挙げると、ロスカット回避の追加の入金です。証拠金維持率が低下していくと、ロスカットに合わないように入金をしておくことがたまにありますよね。
追加入金の回数が度を過ぎると、手持ちの資金だけでは証拠金維持率を維持することが厳しくなってきます。
たまたま海外FXではクレジットカードで簡単に入金可能です。そこで、つい予定外のカード利用、つまり借金をしてしまう投資家も結構いるのです。
ゼロカットのデメリットとは、借金を負わない、という安心感からつい油断し過ぎてしまうことです。
というのも、
〇〇円の損失が出ている < マイナス残高になる可能性がある
ロスカットでマイナス残高になるよりは、単純に損失額を出すだけなら安心だと錯覚してしまうからなのです。そこで、ついつい口座残高をロスカットに合うのを待つかのごとく見守ってしまうわけです。ここにゼロカットの危険性があるといえます。
本来なら、ロスカット以前に自分の資金が減ってきていることに危機感を感じるべきなのです。

というわけで、ゼロカットは必ずしもメリットだけではないことがわかりましたね。
ちなみに、以下の記事では海外FX初心者におすすめのXMで口座開設する方法を解説しています。合わせてご覧ください。


FXでリスクを抑えるためには、本当はロスカット云々ではなく、ロスカット以前に早めの損切りを心がけることです。
海外FXのゼロカットは投資家にとって大きな安心感となるのは事実。しかし、だからといって証拠金維持率が低下していくのを黙って見続けるのは間違えです。
よほど、急激な為替変動が起きない限りは、早めに損切りするチャンスはいくらでもあります。ゼロカットだから、と実際の資金に対する感覚がマヒしないように気をつけることが大切です。
とはいえ、海外FXのゼロカットは投資家にとって保険的な存在。マイナス残高のリスクを考えるなら、国内FXよりもはるかに安全だといえるのです。
FX海外口座コンシェルジュ(無料)
>FX海外口座コンシェルジュでは、海外FX攻略について、どこよりも詳しく解説しています。
上から下まで読んでいただければ、海外FX攻略のすべてを知ることができます。
海外FX初心者の方におすすめです。